博士の就活【企業に就職するという決意】
博士の学位の取得後のキャリアパスは、主に二択
①. アカデミックに残り研究を続ける。
②. 企業に就職する
である。
社会一般的には、企業に就職することはまだまだネガティブな印象が強く、
「日本の企業は博士を使うことができていない」、
「博士は使いづらいので求められていない。修士の方が有利だ」
という意見が散見される。
しかしながら、実際に就職活動をし、実際に企業で勤務をして、その印象は必ずしも正しくは無いという印象を受けた。
実際、私は博士の学位を取得後、企業に就職をするという選択をしたが、今のところこの選択に全く後悔をしていない。
私の体験談を共有することで、これから人生の選択を迫れらている博士学生の参考になれば良いなと思い、少しづつ思い出しながら記事を書いてみることにした。
1. 就職活動をするという選択に至った経緯
そもそも私の場合は、博士に進学した時点で就職活動を視野に入れていた。もちろん、アカデミックに残る選択はゼロではなかったが、
1. アカデミックポストの少なさ
2. あまりにも熾烈な競争
3. 経済面
4. そもそもアカデミックでこれ以上やりたい研究が無い
5. 一度自分の専門領域を大きく変えてみたい
等の事情を考慮して、就職活動を始めた。
アカデミックの世界は生き残るために常に熾烈な競争をしなければいけないし、土日も実験に費やさなければいけないことも多い。
本当にやりたい研究が有るのであれば、天国のような環境かもしれないが、博士2年の時点で論文を執筆した時点で、こんなに大変な想いをしてまでやりたい研究が有るのだろうかと自問をした。
また、婚約者が居るという自分以外の要因もあったため、経済的に自立する必要があった。
様々な要因が絡み、私の場合は就職が適切であると考えた。
私の私見では、「経済的な安定性を捨ててでもやりたい研究が無いのであれば、就職を視野に入れた方が良い」と思う。
2. 博士の就活は2年の10月から始まる
博士の就職活動は圧倒的に情報量が少ない。修士までとは違い、周りに就職活動をする博士が少ないためである。
情報収集を怠ると「応募をしようと思った時には終わっている」等ということもあるので気を付けたい。
ここで、いくつか博士の早期選考を行っている代表的な企業のスケジュールをまとめる。
また、選択時の重要な判断材料とる初任給、ボーナス実績、勤務地等をまとめた。
企業名 | 時期 | 初任給(万円) | ボーナス | 勤務地(研究職) |
---|---|---|---|---|
旭化成 | 11月 | 29.4 | 5.5ヶ月 | 富士、東京等 |
AGC | 12月 | 30.6 | 5ヶ月 | 横浜、東京等 |
昭和電工 | 2月 | 30.8 | 6ヶ月 | 大分、川崎、千葉等 |
住友化学 | 10月 | 29.6 | 5ヶ月 | 大阪、宝塚、茨城 等多数 |
積水化学 | 11月 | 27.7 | 5.5ヶ月 | 茨城、大阪、京都等 |
東レ | 10月 | 29.7 | 6ヶ月 | 愛媛、滋賀、愛知、神奈川等 |
三井化学 | 12月 | 29.2 | 6ヶ月 | 千葉 等 |
SONY | 1月~ | 個別に設定 | 7.0ヶ月 | 神奈川 東京 |
テルモ | 12月 | 26.6 | 4.5ヶ月 | 神奈川 |
NTT研究所 | 12月 | 27.9 | 4ヶ月? | 神奈川 東京 |
その他製薬企業 | 11月~ |
こうしてみると、初任給はわずかに差が有ることが分かる。よって初任給が高い企業を受ければ良い。。。というわけではない・・・
大きく差が出るのは、勤務地、家賃補助等である。これに関しては、Openwork等の情報サイトを駆使して調査していただきたい。
私の調べでは、AGCと旭化成は、福利厚生がかなり手厚いので、ぜひ調べていただきたい。
3. 博士の就活は早期選考を行っていない企業にはエントリーできないのか?_
答え:できる。
私もいくつか早期選考を行っていない企業を受けたが、全く問題はなかった。
しかしながら、修士の学生と同じ選考フローに乗るため、2月頃から始まる。
よって、早期選考の企業を待たせることにもつながるため、注意をする必要がある。
本記事の最も重要な点は、博士の就活に関しては、10月から博士の就活が始まるということである。
これを意識して、準備をして頂きたい。
博士の就活はネガティブなイメージがあるかもしれないが、やってみるとかなり楽しかった。自分のやってきたことに自信を持って臨めば、必ず内定をゲットできるはずである。
一方で、ES落ちは修士以上にしやすい印象があった。
次回はエントリー時期の体験に関して、書こうと思う。